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HOME > 日本一周の記録編 > 実現 > 旅の日記(目次)> 2003年05月29日
405日目
2003年5月29日(木)
【天気】晴れ
【記録者】とっこり
「テントの可能性」

朝5時半にしてすでに暑い。
テントの中にいつまでもいるとカラカラにひからびてしまいそうだ。
晴れることがわかっていたから珍しく屋根のないところにテントを張っていたのが裏目に出てしまったのだろうか、日差しが熱くてゆっくりと朝のひとときを楽しむことができない。
さっさと撤収して朝食をとって出発した。


国見町から雲仙普賢岳

右手に雲仙普賢岳を見ながら爽快に走る。
10年以上前にTVを通して見た普賢岳噴火のことはほとんど覚えていないが、この地であの大災害が起こったんだという奇妙な感動はある。
当時を伝える災害資料館なんかがあれば是非入って勉強しておきたいところだ。
15kmほど走ったところで島原市に到着。


この町ではあちこち見たいところがあったので、まずは武家屋敷に行ってみることに。
細い路地をくぐり抜けて迷いながらも武家屋敷が建ち並ぶとおりに出た。
塀に自転車を立てかけて屋敷に入ってみる。

武家屋敷

ずっと保存してほしい道

立派な庭。
きちんと手入れされていて趣がある。
その庭を通り抜けて一本となりの通りに出てみる。

おーーーすげぇ!
その通りはアスファルトが敷かれていない古い町並み保存の道で、真ん中に溝が掘ってあって水路になっている。
石垣の塀がずーーっと続いていていい感じ。

けばけばした看板もなく、通行と景観の妨げになる電柱もない。
歩行者専用になっているから車は通らず、ゆっくりとした時間の流れ方がここにはある。
こういう町並み保存はすばらしいと思う。
島原市の好感度はかなり高いぞ。

見学できる屋敷に入ってみる。

武家屋敷で人形とたわむれる

玄関からおじゃまして家の中をひととおり見学してから風通しのよくて日当たりのいいナイスな部屋でちょっと休憩。
畳に座ってぼーーっとしていると眠くなってくる。
・・・ハッ、いかんいかん。
ついウトウトしてしまった。



次は島原城へ。

島原城

入場料520円を払うのがばからしくて城の周りをぐるっと回ることにした。
この土地を治めていた殿様が住むというだけあって眼下に見下ろす町並みはGOOD。
外から城を眺めているだけで十分に満足できた。


島原市は湧き水がきれいなことで有名だ。
町のあちこちで湧き水を汲めるところがある。
そして驚くべきことにその湧き水の流れる用水路でコイを放しているところがあるのだ。

用水路にコイ

実際にそこに行ってみてびっくり。
本当に用水路で泳いでいるコイが10匹ほど見られたのだ。
湧き水の里としてアピールしたいのかどうなのか真相は知るところではないけど、流れのない池で泳いでいるコイに比べたらここのは身が締まっていてうまそうだ。
いや別に腹が減ってるわけじゃないんだがね。


アーケード街で昼食のための買い出しを済ませてから雲仙普賢岳資料館へ。
ここでは12年前の噴火の状況とその後の復興の様子をVTRとパネルによって説明している。
TVでは伝わらないリアルさがここにはあって、想像以上の被害の大きさに心を打たれた。
もし自分がここに住んでいたとして、噴火によって避難勧告が出されたら何を持って逃げるだろうか。
真っ先に思い浮かんだのは今の自転車旅行セットだ。
これだけあればとりあえずとこででも生活できるのだから賢明な選択だろう。
そう考えると旅が終わっても自転車セットはこのままにしておいた方がいいのだろうか。
そうすべきかもしれない。


噴火のなごりを普賢岳に見ながら少し走って、道の駅ふかえに到着。
敷地面積が日本最大級だというこの道の駅は12年前の噴火による土石流をもろに受けた場所に建てられている。

島原市から雲仙普賢岳

2階建ての住居の屋根しか見えなくなってしまった土石流のすさまじさを、実際に埋まってしまった住居をそのままの状態で保存して公開することで伝えている。
この場所からは普賢岳の噴火口がはっきりと見える。
身をもって体験していないと忘れていってしまう災害とその被害。
普賢岳噴火や北海道の有珠山の噴火阪神大震災などメディアを通して知った当時の苦しみや悲しみは、日常生活の中でどんどん記憶から遠ざかっていく。
現場に立って当時の記憶と想いを呼び起こすことも時には必要だろう。
今こうして当時を偲んでいる心をなんとか持続していきたいものだ。


さて、そうこうしているうちに午後2時。
天気予報では明日はだというのだが、まったくそんな気配を見せない。
陽のあたるところにしばらく立っているとめまいがしてくるくらいの陽気なのに、明日の雨のことはどうあがいても想像できない。
安心して泊まれるところを探すということでは道の駅はベストなのだが、せっかく晴れているのに午後2時にして走るのを終えてしまうのはどうにも我慢できなくて出発することにした。
暑い暑いと愚痴をこぼしながら走って、夕方近くにやっと宿泊できそうな広場を発見した。
青い空が広がっていて明日が雨だとはとうてい考えられなかったため、宿泊しようと決めた場所はほとんど屋根はない。
雨宿りできそうなひさしがちょっとでているくらい。
夕御飯を作りながら天気予報が気になってラジオを聴く。
長崎県全域、午前6時から午後6時まで・・・雨。

うわっ!やべっ!
明日は雨だ。夜のうちに一雨あるかもしれない。
移動することも考えたが、ここまで走ってくる間にめぼしいところはほとんどなかったし、この先も田舎道が続くから果たしていいところが見つかるかという不安はある。
今いる場所でなんとかしよう。

ここの広場には天守閣タワーという建物がある。

普通に設営するとこれ

苦心の変形テント

玄関先にはちょっとだけひさしが出ていてここで雨を防げるだろう。
ひさしの長さは銀マット2枚ぶんよりちょっと狭い。
だいたい100〜110cmくらいだと思ってもらえればいいだろう。
雨が当たらないのはこの幅だ。
そしてテントの床面積は210cm×180cm
普通に設営するとはみ出してしまう。
つぶしてみるか・・・。

雨に当たらないようにテントをつぶして床面積を小さくする。
ただつぶしてもすぐに元に戻るからロープで固定。

中は混乱気味

フライシートやブルーシートで雨対策をする。
うーん、同じテントとは思えない。
雨対策とはいえここまでする必要があるのか疑問だ。
中に入ってみるとかなり狭い。
荷物を入れてしまうと二人ぶんのスペースがない。
足も伸ばせない。

体制を変えられないうえに暑くてすぐに寝つけない。
ここまでやったんだから雨には濡れたくないなぁ。




次の日の朝、テントから這い出してみると地面はしっとりと濡れていた。
夜中のうちに降ったようだ。
テントは全く無事で濡れていない。
苦労した甲斐があったというものだ。
ちょっとでも風が吹いていたらきっと雨に当たっていたであろう今回のキャンプ、運が良かったとしかいいようがない。





移動
出発地 長崎県国見町 尾茂浜憩いの広場
到着地 長崎県北有馬町 日野江の里広場

今日の出費
640円

走行データ
走行距離 40.5km
総走行距離 11108.0km
走行時間 2時間50分
平均速度 14.2km/h




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