409日目
2003年6月2日(月)
【天気】晴れ
【記録者】とっこり
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「長崎を楽しむ、そして苦しむ」
さあ今日は長崎市観光だ。
日見公園での朝
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めがね橋、中華街、オランダ坂、長崎チャンポン、平和公園、原爆資料館・・・。
見どころはたくさんある。
一日じっくりと楽しむことにしよう。
まずは国道34号線を走って日見峠を越える。
といってもトンネルが通っているから坂道は厳しくない。
代わりに交通量の多さによる排気ガスと騒音があるだけだ。
これから仕事に向かう車だろうか、毎日ご苦労さんです。
峠を越えて下りになると景色が一変した。
山の斜面にずらーーっっと家が建ち並んでいる。
「坂の街」といわれている長崎市、いきなりその呼び名にふさわしい風景が目の前に広がってびっくり。
自転車にとってはつらい街なのでは?と不安がよぎる。
下って下って中心近くまで行ってもゆるいながらも坂が続く。
大変なところに来てしまったようだ。
国道をそれて川沿いに進路を変える。
この川に沿って走ればめがね橋にたどりつくはずだ。
途中アーチ状の石橋がいくつもかかっていて、なかなか風情があるので写真を撮ったりする。
川にはコイがいたりして大都会の中心なのにのんびりした雰囲気を演出している。
3つか4つか石橋を過ぎて、ついにめがね橋が姿を現した。
アーチ状の石橋
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有名なめがね橋
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!?・・・小さい・・・
同じ川幅で2つのアーチを作っているから小さく感じる。
この橋の付近は川の流れがなく、水面が波打ってないから2つのアーチが映り込む。
なるほどこれがめがね橋か・・・。
こんなこと言っちゃいかんかもしれんけど、観光名所として有名になったのは行政の観光アピール作戦が成功したおかげではないかと思ってしまう。
それくらいインパクトが弱い。
名前だけが先行した感じ。
がっかりしながら次の観光地へ。
しばらく走ってから公園で自転車を停め、そこから数百m歩く。
オランダ坂だ。
オ、オランダ坂・・・
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・・・こ、これだけ??
期待しすぎたせいなのか、それとも長崎市の名所アピールがうまいのか、ほんの数十mの石畳の坂には感動や驚きはなかった。
まあこっちのはインパクトというよりは歴史で勝負している名所だからしょうがないかもしれない。
救いだったのはオランダ坂の先に女子大があってたくさんの女子大生が歩いていたことだろうか。
気を取り直して次へ。
長崎といえば中華街だ。
ここでちゃんぽんでも食べようかと思って歩いて行ってみる。
長崎の中華街
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中華街の入り口にある大きな赤い門は横浜の中華街を思わせる。
まだ営業時間になっていないせいか人通りは閑散としていてさびしげだ。
どの店に入ろうかとあちこち回りながらディスプレイをのぞき込んだ。
うーむ、ピンとこないなぁ。
貧乏旅行しているせいか値段が高く感じる。
中華料理店で食べようと思ったらこれくらいするのか?
歩き回っていても入りたい店がいっこうに見つからず、中華街というところが観光客相手に商売しているのが見えてきていやになって出てきた。
地元住民が食べに行くような店でチャンポンが食べたい。
基本に立ち返ってあらためてチャンポン情報を集めてみる。
そして選んだのが共楽園。
中華街から少しはずれたところにあるその店は、昼時とあってにぎわっていた。
店の前に自転車を停めて中に入る。
カウンターに案内されてチャンポンを2つ注文する。
カウンター越しに見える調理場の様子をのぞき込みながら待っているのは楽しいもんだ。
数分後、ついにチャンポンがやってきた。
共楽園の店構え
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チャンポンだ!
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本場チャンポン、どれどれ・・・
うむ、いける!
これはマジでうまいと思った。
コシのある太麺に野菜がたっぷりとのっていて、白いスープがこれまたいい。
各地のラーメン巡りでたまに失敗することもあって今回は大丈夫か不安だったけど、このうまさは納得の味だった。
共楽園のおかげで「長崎チャンポンはうまい!」という印象を残すことができた。
満足して店を出る。
午後からは平和公園へ。
長崎に来たらどうしても外せないのがここだ。
まずは原爆資料館に行って勉強しよう。
入場してすぐに修学旅行の団体に遭遇してしまってがっかりしたが、中はじっくりと見て回ることができた。
過去に広島の原爆資料館に行ったことがあったし、沖縄の平和祈念公園に立ち寄って戦争の悲惨さを心に刻んでいたからここでそんなに衝撃を受けることはなかったが、改めて戦争とは何かを考えさせられた。
戦争は何も生み出さない。
戦争で喜ぶのは一部の支配者たちだけだ。
日常生活では当たり前のように存在する平和を、守っていかなければならない大切なものだと気付くには過去を振り返ることができる原爆資料館のような場所が必要なのかもしれない。
戦争を知らない我々が、平和の大切さをうまく次の世代に伝えていくことができるのだろうか。
しんみりとしながら平和公園にある平和の像を見に行く。
ここにも修学旅行の団体がいた。
このへんに原爆が落ちたんだなぁ〜という感慨をよそに、学生たちの高らかな笑い声が響く。
あーあ、彼らには戦争の悲惨さや原爆の恐ろしさが伝わったのかなぁ・・・。
半分になった鳥居
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平和公園
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グラバー園や大浦天主堂などまだまだ行きたいところはあったが、街の中心で宿泊するつもりはなかったからそろそろ出発することにした。
走っていても本当に平らな道が少ない、坂道ばっかりだ。
自転車には向いていない都市なのは間違いなさそうだ。
さっさと郊外へ抜けてしまおう、そう思いつつもちょっとその前に郵便局に寄る。
いらない荷物を家に送るためだ。
自転車を郵便局の前に停めて送りたい荷物を取り出していると、一人のおばーちゃんに話しかけられた。
後ろの荷台に積んである鍋を見て「それでカレーライスとか作るんかい?じゃがいもいるか?」と言ってたくさんのじゃがいもをくれた。
一見すると怪しい二人組のはずなのに、こうやって親切にしてくれる人は日本中にたくさんいる。
このおばーちゃんは原爆が落ちたときどこにいたのかなぁ〜なんて考えながら、坂の街長崎をでるために汗をかきながら自転車を走らせるのだった。
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