287日目
2003年1月31日(金)
【天気】晴れ
【記録者】とっこり
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「シュノーケリングで別世界へ」
すばらしい朝を迎えた
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昨日から泊まっている比嘉ロードパークからは海を見下ろせる。
エメラルドの海の中に黒い岩らしきものがまだら模様になって一面を彩っている。
その模様がなんともいえずきれいで、これが沖縄の海なんだなと思ったりしている。
朝から気持ちよく自転車を走らせて、目指す東平安名崎の前に吉野海岸に寄ってみることにした。
観光雑誌にちらっと載っていたからだ。
どんなふうに書かれていたかは覚えてないことからするとただ単に寄り道をしたかっただけかもしれない。
海岸への急坂
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道路から脇道にはいると急坂が海岸まで続いている。
かなりきつい。
これを最後まで自転車で下ってしまうと戻ってくるのが大変だと判断して、坂の途中で自転車を停めて歩いて海岸まで行くことにする。
50mくらい歩くとやっと海が見えた。
ここでもやはり黒いまだら模様が広がっている。それにしてもあの黒いのはなんだろう?
海岸に到着。砂浜が続いている。
誰もいない。きれいなところだ。
せっかく海まで来ているんだからちょっと足でも浸かろうかと靴を脱いで靴下を脱いで海へ。
うおっ!つめてーーーっっ!!
さすがの沖縄、宮古島といえども明日から2月。
一年の中でもっとも寒い季節なんだから冷たいのは当然かもしれない。
それでもしばらく入っているとだんだん慣れてきて気持ちよくなってくるからおもしろいもんだ。
太陽が照りつけて少し汗ばむくらいのこの陽気は海に浸かっているのにはちょうどいい。
エメラルドの海
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すでに満足げ・・・
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写真は撮ったし海にも入ったし、そろそろ自転車のところに戻るか・・・そう思ったそのとき、ひとりの初老人がこっちへ歩いてきた。
我々が海に入って遊んでいる間に車でやってきた人のようだ。
坂の途中にあった自転車は君たちのか?と旅のことを聞いてきたので話が始まった。
このおじさん、ここには毎日のように来ているそうだ。
浜にある手作り風の南国チックな海の家はこのおじさんのもんだそうだ。
なんでもここ吉野海岸は海に入るとすぐに珊瑚と熱帯魚の世界が広がる世界でも類のないすばらしいところだという。
普通は沖にいくらか泳いでいかないと珊瑚と熱帯魚にはお目にかかれないらしいのだが、そのへんは詳しくないからわからない。そうなの?
せっかく来たのに足だけ浸かって帰るのはもったいない、ぜひ潜っていった方がイイと勧めるじゃないか。
今2月だよ、寒いって。
と思っているのを見透かされたのか、昨日の寒空でも潜った人がいるということを聞かされ、こうやって話をしている間にも何人か水着で海に向かっている人がちらほら見受けられたこともあってそれならちょっと潜ってみようかという気になった。
自転車のところに戻って水着をとってきて、おじさんからシュノーケルを借りて(旅人はタダで貸してやるよ!と言っていた)海へと浸かった。
んんん〜〜つ・め・た・い・・・うっぷ、
少しずつ体を慣らしていき、シュノーケルを装着してついに頭を海の中へ沈めた。
(こぽこぽ・・・おー死んだサンゴのカケラがいっぱい落ちてるなぁ・・・)
目線を足下から沖のほうへと移す。
(!!ホワッツ!?あれはサンゴか?で、でかい!!!)
小錦のようなサンゴがごろごろと辺り一面に転がっている。
(!・・・魚だ・・・黄色、赤色、青色・・・は〜〜きれいじゃのぉ・・・)
(人を警戒するでもなく楽しそうに泳いでおるのぉ・・・)
(なんなんだここは!まるで別世界に来てしまったようだ。)
しばらく時を忘れて泳いでいた、というか浮かんでいた。魚と一緒にゆらゆらと辺りをさまよった。
きっと餌付けされているのだろう、手を差し出すとツンツンとつついてくる魚がいる。
なるほど、シュノーケリングやダイビングにハマル人が後を絶たないわけがわかった気がする。
こんなすばらしい世界があるなら潜ってみたいと思うさ。
いやーびっくり。予想以上だった。
ゆかいな仲間たち
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さすがに冬の海は寒くて、そのうちふるえが止まらなくなってきたので上がることにした。
ささっと 着替えておじさんの海の家で火にあたる。
シュノーケリングをしていた他の人達と話をする。
ここに来てから海に入ることを決めた我々とは違って、みんなは海に入るためにここに来ている。
満足げな顔がすごく印象的だ。
そのうちのひとり、ヒロさんは愛知県から来ている。
旅人のことをすごく評価していて、ただひたすら働いて果たして人に夢を与えられるのかと熱く語る。
その彼がすばらしい演説をした。
みつばちは花から花へと花粉を運び、それによって花は受粉することができる。みつばちのその行動は生態系において必要なものだといえるだろう。一方、旅人は旅をすることによって何も社会に対して働きかけることはないし何かを生産しているわけでもないから、世間の評価は決して高くはない。しかし旅人はみつばちと同じで、土地から土地へと移動して情報や文化を伝えることによって社会に貢献しているのだという。みつばちがそうであるように、旅人もまた旅人本人は世の中のためにやっているという意識はないのだけれど、実はいろんな影響を周りに与えているのだと。
うーーん、なるほど。
これはイイ!自分たちの旅を正当化するもっともらしい意見だ。
旅人を否定されたときに使ってみようかな・・・。
吉野海岸をでて東平安名崎へと向かう。
残り1kmほどのところで後ろからチャリダーが現れた。
宮古島に来てから2度彼にはお目にかかっていたのだがちゃんと話したことはなかった。
彼もまた日本一周人のひとりだった。
なんということか変速なしのままちゃりでここまで3,4ヶ月4800kmほどを走ってきているというではないか。
荷物は多い。4つのサイドバッグを持っている。
多分30代であろうその彼は、はきはきとよくしゃべる。言葉に力強さがある。
よきお兄さんといった感じを受ける。
しばらく話し込んでから別れたがきっともう会うことはないだろう。お互いがんばろう!
暖かく風の穏やかな東平安名崎を楽しんでからさらに先を急ぐ。
急ぐ理由はないんだけどとりあえず泊まるところが見つからず走り続けた。
暗くなる直前にイムギャーマリンガーデンという海浜公園に到着し、テントを設営。
街灯が点灯しないおかげで夕食の自炊はかなり難航したけど、周りに明かりがないおかげで満天の星空を楽しむことができた。
オリオン座がはっきり見えないくらいたくさんの★が夜空を埋め尽くしていた。
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