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とっこりとっこり

日本一周が終わったらどうするのか。
日本一周する目的のひとつに<住む場所を探す>というのがあった。
走っていて気に入ったところがあったらそこに住もうと。
これは出発するときから考えていたことだ。田舎暮らしを夢見て大きな期待をもって走った日々、しかしゴールが近づくにつれて焦りが生まれた。
自分(達)はどこに住みたいのだろう?
次はどんな仕事をしようか?
はっきりとした答えが出せないままのゴール。

ゴールしたときにはきっと住みたいところも仕事も見つかっているだろうと期待してスタートした日本一周だったが、家に戻ってみて次の目標がほとんど定まっていない現実に困惑し、とまどった。
とりあえず休もう。
体を休め、心を休めてから、それから将来に向けて動き出そう。
しばらくの休養中、旅のまとめ・HPの作成などをこなす一方で旅の間に興味を持った有機農業についてもっと深く知ろうと本を読みあさった。
サラリーマン時代に経験した情報処理分野、民宿業、料理、青年海外協力隊、ボランティア・・・興味のあることはたくさんあったのになぜか有機農業の本ばかり読んでいた。
気がつくと手元に農業関連の本があった。
そして実践農家を訪ねたりもした。
農業の現実、農家の想い、将来の夢。書籍から人から「農」に関する様々な価値観を学びとる。
「農」を知れば知るほどクリアになっていく自分の心。
農業がやりたい!百姓になりたい!
腹は決まった。


なぜ農業なのか?


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日本一周によって覆された価値観でもっとも大きかったのは大量生産・大量消費・大量廃棄の社会システムへの疑問だった。
必要最低限の荷物だけを自転車にくくりつけ、お金に頼らない旅の楽しみ方を見つけて目的地を目指す。
お金がなくても物がなくてもこんなに楽しく生きていけるのに、いままで生きてきたあの社会はなんだったのだろう。お金に縛られ、会社に縛られ、モノに縛られ、時間に縛られて、その結果得られる幸せはどれほどのものだっただろう。
本当に欲しかったのは心の充実、人と人のふれあいだったのではないだろうかと旅に出て思った。

また、日本の社会システムに荷担していた自分を悔やんだ。無駄の多い生活・・・。
次から次へと新しいモノを求める社会、古いモノは容赦なく捨てられていく。そんな無駄が果たして許されていいのだろうか。
社会に対する不満、憤り・・・さあどうする?
まずは自分が変わらなければならない。人を、世の中を変えるにはまずそこからだ。無駄のない生活、そして世の中が本当に必要としているものを作っていきたい。


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住むところを探して、やりたい仕事を探して旅を続けた。
北海道まで行ったとき、その大地に魅せられて農業を考えた。
けど今一歩踏み切れない。大型機械を導入しないと経営が難しい大規模農業に魅力を感じなかったからだ。
もやもやしたまま旅は続く。
そんなときにEM(※Effective Microorganisms=有用微生物群。)の存在を知った。
沖縄県宮古島で出会ったNさんが教えてくれた。旅がスタートしてから290日が過ぎていた。

※ここでいうEMとは蘇生型の有用な微生物を集めて培養した液体ですが、これが農業・環境・医療などのジャンルにおいて大きな変革をもたらしつつあります。

環境に対して、今までの生活に対して、世の中の矛盾に対して疑問を持っていたからこそNさんのEMの話にはなにか可能性を感じた。
ただこのときすぐに農業を仕事として考えたというわけではない。
頭の片隅に小さな風船が膨らんだにすぎないのだ。
とはいえその風船は時間がたつにつれて確実に大きくなっていった。旅の途中にWWOOFで農家を訪ねたのは将来の仕事の選択肢のひとつとして農業を考えていたからに他ならない。

EMを知るまで有機農業というのは生活が成り立たないものだと思っていた。
いやそれ以前に有機農業の存在もろくに知らなかった。
EMを使えば・・・という考えが浮かんだのは、頭のどこかに将来の仕事として農業があったからかもしれない。無農薬無化学肥料の食べ物。世の中が本当に必要としているもの、それは人間が生きるためには絶対に必要な食べ物じゃないのか。人体にとって健康で安全な食べ物ではないのか。
世の中に安全な食を提供したいなどという信念はこの時点ではない。あくまで自分の生活のため、自分の生き方のために有機農業という仕事を選んだだけだ。それでいいじゃないか、世の中が必要とするものを作っていくということは本人の自覚なしに世の中の役に立っていたりするものではないだろうか。
まずは自分ありき、だ。


目指す農業の形は
畑作(野菜)、無農薬無化学肥料、少量多品目、産直提携(宅配)
である。
なぜ産地直送か。旅で学んだことは人と人とのつながりが人生をおもしろくするというものだった。顔の見えるおつき合いをしたいと思った。生産者の顔が見える、信頼関係を持って安心して消費者に食べてもらいたい。
単品に絞りきれないから少量多品目になった。
50種類とか100種類とか。
いいじゃない。


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大学では工学部、そしてソフトウェア開発の仕事に携わってきた。完全にデジタルの世界である。それが日本一周を経て農業という超アナログの世界に飛び込もうとしている。
また1から出直しだ。
知識も経験もなければ農地すら持っていない。
農業系の学校を出てそのまま農業をはじめた若者と比べればかなり遠回りしたような気になってくる。
でも遠回りではない。
今までの人生でやってきたひとつひとつのことは、現在の自分を創りあげるのにはどうしても必要なことだった。こうして農業人として百姓としての第一歩を踏み出そうとしているのは、なるべくして成ったと思いたい。きっと自分にとってこれが自然な流れなんだ。
さあ、がんばろう。


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最後に、もしも僕(我々)がつくる野菜に興味があって食べてみたいと思ったら・・・少なくともあと2,3年は待ってください。まだ何もできてません。ホームページもまだありません。
でも健康で元気な野菜は必ずつくります。
にんじん1本でもジャガイモ1個でも買うよという人、メールください。
いや買わなくてもいいです、応援のメールをください。
その気持ちが我々のになります。



2003年11月5日 とっこり







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