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484日目
2003年8月16日(土)
【天気】雨
【記録者】とっこり
「最後のパンク修理」

天気予報ではくもりのはずが、テントから出てみると地面はしっとりと濡れていた。
あたりは霧のような雨が降っていて薄暗い。
屋根のあるところにテントを張っているから雨が降って困るようなことはなかったが、今日は動けないかもしれないということがつらい。
もうすぐゴールだからこそ、雨の日の走行は気をつけなければならない。
できれば走りたくない。
でもおととい雨で動かなかったし、この先も雨の日が多そうだから、弱い雨の時に少しでも進んでおきたいという気持ちもある。
前進か停滞か、悩む。


とりあえずテントをたたんで荷物をまとめる。
自転車に全ての荷物をくくりつけていると、一人の男の人が話しかけてきた。
自転車で旅行されているんですか?
珍しい自転車を見つけて話しかけてくる、いつものパターンかと思っていたら実はそうでないことがしばらく話してわかった。
自分の自転車のタイヤがパンクしてしまった。
空気入れはありますか?

とのこと。
どうやら困っている人のようだ。

まだ朝早いため自転車屋は開いていなくて、道の駅であるここまでとりあえず自転車を押してきたらしい。
この彼、20代半ばの青年で、東京から京都へのツーリングの途中だという。
目的地の京都まで残すところ100kmを切っている。
だが、今いる道の駅から先は鈴鹿峠が待っている。
確かこの先はしばらく峠道で、自転車屋なんてなかったからここでパンク修理しておかないと大変なことになるだろう。
なんとかして助けてあげたいところだ。


まず彼の自転車を見てみる。
バルブは英式だ。
バルブの型式は3種類あって、ロードレーサーによく採用されるのが仏式、我々のも含めてマウンテンバイクには米式、ママチャリなどの大衆車には英式がよく用いられている。
おおざっぱに分類するとそんな感じだ。
彼の自転車はマウンテンバイクだったが、量販店で売っているようなものだと英式が採用されていることが多いから、多分そのせいで英式なのだろう。
我々が持っている空気入れは米式・仏式に対応したタイプだったが、英式タイプの自転車がパンクした場面を想定して英式用アタッチメントを持ち歩くようにしていたから、全てのタイプに空気を入れられる。
まさにこんなときのために持っていたパーツが、ついに役立つときが来たのだ。

その空気入れを使って、まずは空気を入れてみる。
シュコッ、シュコッ、シュコッ
何十回とポンピングを繰り返す。
・・・手応えがない。
パンク修理キットを使ってチューブを取り出し、もう一度空気を入れてみる。
やっぱり入らない、どこかから抜けている感じだ。
パンクと断定して、穴を探し始めた。
・・・あった。
けっこうでっかい。
何が刺さってこうなったのかわからんが、こんなにでかいと空気が入るわけがない。

持っている最後のパッチを傷口に貼ってパンク修理をする。
実はこのパッチ貼り、僕はかなりへたくそで今まで何度となく失敗してきた。
修理したと思ってもしばらく走っていると空気が抜けてしまったということがあったのだ。
今はパッチを一枚しか持っていない、失敗はできない。
丁寧な作業を心がけ、完了。
うまくいったかどうかは走ってしばらくしないとわからないが、多分大丈夫だろう。
3人で交代しながらタイヤに空気を入れてようやくパンク修理が終わった。
無事京都までたどりつけるといいな。


もうすぐゴールだというところで人助けをすることができた。
いつもいつも日本中のいろんな人に助けられて、なんとか無事に旅を続けて来ることができたが、どうにかして恩返しをしたいといつも考えていた。
それがこういう形で、小さな恩返しができたことはうれしいことだと思う。
親切にしてくれた本人に受けた恩を返すことはできなくても、他の困っている人を助けることで、助け合いの心が広がっていけば最高だ。
僕らがパンク修理をしたSさんへ。
京都まで無事ゴールしたあかつきにはぜひ、僕らが渡したたすきをどこかの知らない誰かにリレーしてください。
それが僕らに対しての恩返しになります。



気分良く道の駅を出発。
Sさんが京都までの道のりをがんばって進むのに刺激され、霧雨ながら今日は少しでも走ることにした。
雨具を着て走る。
関町から芸濃町、安濃町、そして津市へ。
雨はどんどんひどくなっていく。
津市までは交通量の少なそうな県道を選んで走っていたが、この先は国道23号線を使って一気に松阪市へ。
普段なら大変な苦労をして走らなければならない国道23号線だが、今日は8月16日。
お盆である。
大型トラックはほとんど走っておらず、交通量こそ少なくないものの路肩が広いから比較的走りやすい。
お盆でなかったらきっと大型トラックがビュンビュン走っていて、えらい目に遭っていたことだろう。
お盆でよかった。

松阪市に入って泊まれそうなところを探したが、なかなか見つからずに一苦労。
市の中心付近だから泊まりにくいのも当然か。
本屋で地図を立ち読みしてようやくめぼしいところを見つけて滑り込む。
近くに図書館があるから、もしも明日が雨でも退屈はしないけど、できれば移動したいものだ。
ゴールまであと100kmほど。

こっそりとテントを張る






移動
出発地 三重県関町 道の駅関宿
到着地 三重県松阪市 文化会館の楽屋口

今日の出費
2467円

走行データ
走行距離 40.5km
総走行距離 14259.0km
走行時間 2時間43分
平均速度 14.9km/h




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