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HOME > 日本一周の記録編 > 実現 > 旅の日記(目次)> 2003年07月02日
439日目
2003年7月2日(日)
【天気】晴れ
【記録者】とっこり
「いろんな日本一周のカタチ」

テントからでてみると青空が一面に広がっていてびっくり。
一日中雨が降っていた昨日のうっぷんを晴らすかのようにすっきりしている。
きらきらと輝く海を見ながら走っている姿を想像しながら、この貴重な晴れを逃す手はないと、出発の準備を急ぐ。
梅雨まっただ中の今だからこそ晴れの日を大事にしたい。
ところがこういうときに限ってタイミングよく邪魔が入るのである。


テントを片付け、荷物をすべて自転車にくくりつけてからトイレに向かった。
向かっているとき、一台の自転車がトイレに向かって走っていくのが見えた。
背中にリュックをしょっている。
荷物の量から推測するに2,3泊くらいの短期ツーリングだろう。
ちょっくらあいさつでもするか・・・これが間違いの始まりだった。
トイレの前でその男性とあいさつしたまではよかったのだが、どうもこの人は話し好きらしく、マシンガンのようにずーーっとしゃべりまくられてしまった。
朝食を食べようとしてたこべーが自転車のところで待っているのに、話が途切れないから戻ることができない。
結局30分くらい話し込んでからやっと自転車のところに戻ることができて、といってもその人も一緒に来たのだが、ここからさらに1時間半以上も話が続いた。
ほんとによくしゃべる人だ。

この人のことを少し書いておこう。
彼は現在37歳
27〜31歳のときに3年間かけて自転車で日本一周をしたそうだ。
自由に使えるお金が300万円あったとかで、我々が1年半でなんとか終わろうとしている日本一周を3年かけてじっくりと回ったという。
その300万円がどこから湧いてきたかというと・・・16歳から11年間、彼は弟と二人でたこ焼き屋クレープ屋を営んでいた。
商才があったのだろうか、その11年間でなんと6000万円(!)が手元に残ったという。
それを元手にしてを運用したのが成功して2300万円をもうけ、そのうち2000万円は阪神大震災の復興支援のために寄付(同じく高額寄付していたイチローと肩を並べて表彰を受けたと言っている)、残った300万が自転車日本一周に使われたお金だ。
6000万円は未だに持っているそうだ。
そんなお金持ちの彼だが、「お金があってもろくなことはない」と漏らしている。
お金持ちならではのセリフだ。

四国を回っているときにお遍路を経験しているせいか、仏教に関する話があちこちにでてくる。
人は10回生まれ変わることができるだとか、生まれ変わるときは男女交互に転生するとか、この世は3次元だけど神様は何次元も上の世界にいるだとか、悪い行いをすると次は人間でなく虫や動物に生まれ変わるのだとか、とにかくついていけない。
ついていけない、けど話を聞いていてひっかかったことがある。
なんか人間が虫や他の動物よりも偉いとでも言いたげな考え方がいただけないのだ。
悪い行いをすると次は人間じゃないというところが正にそうだ。
人間ってそんなに偉いの?
食物連鎖の頂点に君臨し、生態系からはみだして地球環境を破壊する。
母胎であるはずの地球を壊すその様は、宿主であるはずの人間を破壊していくガン細胞のようだ。
そんなガン細胞な人間がそんなに偉いのだろうか?

37歳のおじさんはさらに、現代社会の環境問題を憂い、資源活用の問題や人間の倫理観の下落などいろんな話をした。
共感できる考えも多く、だから2時間以上も話し込むことになってしまったのだろう。


トイレにも行けずじまいで2時間もしゃべり倒され、せっかくの快晴なのに出発時間はいつもより遅くなってしまった。
それでも晴れている時のしまなみ海道はすばらしく、海から山からなめ回すように景色を楽しむ。
本州ではここに勝る景色がないのでは?と思えるくらいすばらしいところだ。
橋をいくつも渡りながらしばらくは至福の時を過ごす。

しまなみ海道の最後の島、大島を走っているときに一台の自転車に追いつかれた。
サイドバッグが4つついていて、明らかに長期旅行者だ。
併走しながら話をする。
この彼は24歳日本一周中だ。
9年間働いた大工の仕事を辞めて日本一周へと旅立ったそうだ。
残すところ四国のみというところまで来ているのに出発してからここまで80余日しか経っていない。
平均しても1日150kmくらいは走るという走り屋で、北海道は250〜260kmを1日で走ったりしていたらしい。
彼の場合、とにかく日本一周するのが目的らしいので観光には目もくれずひたすら走り続けている。
残った四国を1週間くらいで走りきって早くゴールしたいと言っていたが、我々はその四国を1ヶ月くらいで回ろうと思っている。
雨の日も走るといっていたから旅を修行のようなものとしてとらえているのだろう。
日本一周の旅といってもいろんなタイプの人がいるようだ。
この彼と我々とではあまりにもタイプが違いすぎて話が弾まず、名前も聞くことなく別れた。


それにしても今日だけで2人、日本一周にかかわる人に出会った。
こんなことは珍しい。
さらに言うと2日前、63歳の日本一周人に出会っている。
テントも自炊道具も持たず、ままちゃりの前かごに入るだけの荷物で3年も旅を続けている人だった。
仏教に興味があって全国各地の仏閣・仏像を見て回っていて、自分の視野や見聞を広めたいという目的もある。
彼は、航空関連会社で、高度成長期という波に乗ってがむしゃらに働いてきてそのことを悔やんだりしているが、今はとても幸せだという。
人への感謝の気持ちを忘れず、とにかく何でも興味を持って視野を広める努力をしなさいと、アドバイスをくれた。
雨の日でも修行だといって走るすごいおじさんだ。


3人の日本一周人に出会って、改めて自分たちの旅の目的・スタイルについて考えさせられた。
我々の目的はあくまでも日本一周することだ。
だがそれだけで終わりたくはない。
いろんな人に出会っていろんな刺激を受けて、いろんな価値観に影響を受けながら各地の文化・自然・歴史などを学んでいく。
旅行会社が企画する観光ツアーのような、観光地を点と点で結ぶ旅ではなく、移動すらも楽しんでしまおうという線の旅にこだわっていきたい。
ガソリンを使うような動力には頼らず、あくまでも自分の力で前進していきたい。
そのために自転車という移動手段を選んでいるのだ。
自転車で走ることももちろん楽しむ、でもそれだけでなく観光しているときも、自炊してごはんを食べているときも、テントの中で寒さに震えているときも、旅の間の1分1秒すべてを楽しんでいきたい。
それがとっこり&たこべーの日本一周だ。
そうだ、そうだ。
旅が長期化してマンネリしているからこそ、基本に戻らないといけなかった。
それに気付かせてくれた3人の日本一周人、ありがとう


午後からは、ついに四国上陸。
今治城を見に行って、お遍路88カ所のひとつ延命寺に寄って、松山市に向けて走った。
いよいよ四国、どんなことが待っているんだろう・・・。

来島海峡大橋

今治城

延命寺






移動
出発地 愛媛県上浦町 道の駅多々羅
到着地 愛媛県北条市 道の駅風和里

今日の出費
1058円

走行データ
走行距離 67.7km
総走行距離 12320.0km
走行時間 4時間26分
平均速度 15.3km/h




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