335日目
2003年3月20日(木)
【天気】晴れ
【記録者】とっこり
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「サイクルシティかせだ」
トイレ付きの東屋
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加世田市は自転車の街
そんな噂を聞いたのは3月4日西鹿児島駅でのことだった。
あれから約2週間、やっと昨日加世田市入りすることができてついに今日、市役所に行くことになった。
市役所に行くのは目的ではない。
自転車の街というからにはきっと自転車が走りやすい道路整備がされているのだろうと考えて、だったら街の中心にある市役所まで走ってみようという、ただそれだけだ。
朝の通勤ラッシュの時間だったせいだろうか、交通量は多い。
そのわりにはスムーズに車は流れてるかな〜という印象はある。
けれども歩道の段差はとくに他の自治体と変わったところはなくて荷物を積んだ自転車にとっては厳しいし、道路の路面状態は決していいとはいえずガタガタを感じる箇所もあった。
歩道がないところは当然車道の端っこ、路側帯を走ることになるがここもそんなに広くスペースをとってあるわけではない。
うーん、他の地域とたいして変わらないぞ・・・。
もしかして自転車に対する住民の意識が高いのか?
そう思ってすれ違う車や追い越していく車の速度対応、自転車通勤・通学している人のマナーなどを気にしながら走ってみた。
・・・べつに他と変わらないなぁ・・・。
あまりいい印象のないまま市役所に到着。
いちおう気を使って駐輪場に自転車を停めようと思ったのに、スタンドのない我々のチャリでは立てかける場所がなくて仕方がないから建物の壁に立てかけておいた。
本館の隣にあるこの建物、入口に「インフォメーションセンター」とあるから多分観光案内もしているだろうと思ってまずはここに入ってみることにする。
入ってすぐに「インターネット体験」という文字を発見。
パソコンが4,5台ならんでいる。
やった!!久しぶりにホームページの更新ができる!!
前回の更新日はなんと2月28日。沖縄県石垣島だ。
ノートパソコンを持ち歩けば毎日でも更新作業ができるんだろうけど、すでに旅がスタートしてから1年近く経ってるし今さら何万円も出してパソコンを買おうとは思わない。
1ヶ月近くもホームページが更新されてないと見てくれている人からすれば
ふざけんな!
てなことになるだろうけど、こればっかりは勘弁してくれぃ。
というわけでパソコンを目の前にして更新作業開始。
フロッピーディスクを使用するときは係員まで・・となっているのは多分ウィルスチェックだろう。
フロッピーディスクは使いたかったからすぐ近くにいる係員のお兄さんに話を持ちかけた。
すると案の定ウィルスチェックを始めた。
・・・
・・・
・・・フロッピーにはデータが満載だからかな〜時間かかるなぁ・・・
横で待っている間の沈黙が嫌になって「サイクルシティ」を宣言しているその取り組みについてなにげなく質問してみた。
かんたんには答えが返ってくるけど詳しいことはわからないようだ。
でもあとで企画課の担当者のところへ連れていってあげるよと言ってくれた。
あららご丁寧にすみません、ちょこっと話を聞けるだけでいいんですが。
ではのちほど・・・ということでウィルスチェックを完了してホームページ更新を再開。
カウンタ数を確認したりメールチェックをしたりしながら無事に終了。
とそこでさっきのお兄さん(実は広報担当)に声をかけられて本館2階にある企画課へと案内された。
サイクルシティかせだ推進協議会
企画課の入り口にはこんな看板がでかでかと掲げてあった。
いかにも力が入ってそうな雰囲気が出ている。
中にはいると別の男性が待ちかまえていて「ささっ、こちらへ」と応対してくれる。
テーブルの上にはたくさんの資料がそろっている。
あら?ちょこっと資料をもらって話を聞いておしまいかな〜なんて思ってたのにお茶まで出してもらってえらい好待遇にびっくり。
突然の訪問なのにここまで対応してくれるなんて、加世田市はすばらしい!
自分たちの旅の話も交えながら加世田市の取り組みについて説明を聞く。
サイクルシティ誓言までの経緯から現在に至るまでの取り組みの内容、これからの活動計画、道路整備や施設などのハード面の整備のこと、市民の自転車に対する意識を高めるための取り組みや世界選手権の誘致などのソフト面での活動など資料を目の前にしてたくさんのことを熱心に話してくださる。
そのうち課長さんも混じって4人で日本一周旅行のことで盛り上がった。
前半は観光中心で走っていたこと、寒さに負けて旅を中断したこと、沖縄滞在によって旅のおもしろさが増して価値観が変わりつつあることなど、おおまかに我々がたどってきた道を話した。
そうやって話が長引いているうちになんと、市長さんがやってきた。
し、市長!?
地元の市長にも会ったことないのに・・・
なんだか市長がいちばん熱い。話が熱い。
みんな自転車のこと好きなんだな・・・
率直にそう思えた。自転車によるまちづくりで加世田市をもっともっとよくしていこうとする意気込みが伝わってくる。
「シェルパ斉藤」「田嶋直樹」などこっちの世界(旅関係)での有名人が同じように加世田市を訪れていることも教えてもらった。
彼らにはかなわないけど今まさに同じ土俵にいるんだなと感じることができる。
実はすごいことしてたのか?オレ達は?
昼休みになって企画課の方々とラーメンを食べにいって、午後から市内にある自転車屋さんへと案内してもらった。
たこべーのMTBのタイヤがだいぶすり減っているから交換するためだ。
荷物付きの自転車で市内を走りたくなかったから加世田市の公用自転車を借りてでかける。
たこべーだけMTBだ。
公用車といってもようするにママチャリ、サドルが低すぎるせいか足に力が入らないし荷物がないからかバランスが取れなくてフラフラしてしまう。
プロの仕事ぶり
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生まれ変わった姿
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違う自転車に乗ってみて、自分の自転車がもはや手足のように一体となっていたことを感じる。
ぎこちない運転をしながら自転車屋に到着。
さっそくタイヤを交換してもらう。
作業のスピード、丁寧さはさすがプロ。素人のタイヤ交換とはわけが違う。
工賃で1000円とられたけど、プロの仕事ぶりを見れたことと廃タイヤの処分を考えればそう高いとは思わない。
新しく生まれ変わったたこべーのMTBは、タイヤが入れ替わっただけなのに全く別の自転車のように見える。
不思議だ。
たこべーのうれしそうな顔、にやついた顔といったらしばらくは忘れられそうにない。
市役所に戻ってまた企画課へ。
すでに14時を過ぎたしあんまりのんびりもしてられないからそろそろ出発しますということを課長さんに伝えると、
うち、泊まっていったら?
という申し出。
顔はちょっと怖いけど心は温かい課長さん、人との出会いを大切にする旅だからこそこの申し出は喜んで受けることにした。
そうなるとまだ時間がある。
市役所内をひととおり1階から3階まで案内してもらった。
あちこちの課で紹介してもらってにわか有名人というところか、そう悪い気分ではない。
こんなに丁寧に案内してくれて課長さん、ひまなんですか?
いよいよ出発となったら玄関で見送りしましょうという話になって、企画課の職員さんたちはぞろぞろと正面玄関に出ていった。
たこべーの隣りが川野市長
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20人はいただろうか、会議中で出てこられないはずの市長さんまでわざわざ会議を抜け出してきてくれて、めちゃめちゃうれしい。
日本一周してきてよかった。
涙こそ流しはしなかったものの感激につつまれながら拍手で見送られて加世田市役所をあとにした。
市長さんのまちづくりに対する熱意、企画課のみなさんの自転車に対する情熱はしっかりと伝わった。
これからもがんばってください。
密かに応援しています。
すぐ近くにある万世小学校の校庭にあるという銅像を見に行く。
小泉純也氏
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小泉純一郎首相の実父の胸像があるというのを聞いていたからだ。
下校途中の小学生に「それバイク?」などと言われながら校庭に入っていくと、いました小泉さん。
校舎を遠くから見つめるその目には優しさがあふれていた。
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