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旅の日記 |
196日目 2002年11月1日(金) 【天気】雨 【記録者】とっこり |
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「川の増水、深夜の猛攻、そしてテント崩壊」 い、いる・・・ たこべーが朝テントから出ようとしたときの一言だ。 今日の天気予報が雨だということでテントの設営場所を橋の下にしていたのだが、なんと先客(ホームレス)がいたのだ。 しかも土手の最上部、つまり橋の付け根の部分にある隙間に隠れていたのだ。 昨日は暗くなってから橋の下にテントを張ったから、誰か居たとしても気づかなかった。 すぐ近くに使ってそうなママチャリがあったから変だなーとは思ったんだけど、そのときは単なる放置自転車だと思って気にしていなかったのだ。 それにしても凄いところに住んでいるものだ。感心してしまう。 しばらくするとその人は荷物をまとめて自転車にくくりつけ、雨の中を出ていってしまった。 もしかしてうちらがおじゃましたせいで出ていってしまったのか?なんか悪いことをした気がした。 その人が出ていった後、気になって橋の付け根の寝床を拝見させてもらった。 荷物は全て運ばれていてそこに住んでいるとは思えないほどすっきりしている。 お世辞にも広いとは言えないが寝るだけなら充分かもしれない。 雨が隙間から流れてきてその寝床を濡らしてしまっているようだ。 なるほど、雨の日はどのみちここには居られなかったのかもしれない。 今日は雨で動けないので松崎で観光することにする。 傘を差してぶらぶらと散歩して、昼ご飯を食べるためにテントに戻ってくると川が増水していた。 うちらが宿泊している橋には支えとなる橋桁が一本あるのだが、朝の時点では川の水に浸かってはいなかった。 ところが昼に戻ってきたときにはその橋桁は川に浸かってしまっていたのだ。 これはやばい、あと30cmも水かさが増せばまちがいなくテントも水に浸かってしまう。 移動しよう
テントを移動しなければ流されてしまう可能性だってある。 「日本一周中のチャリダー、流される!」 なんて新聞に載りかねない。かといってこの雨の中を出ていくのもちょっと・・・。 悩んだ挙げ句に出した結論はこうだ。 今テントを張っている位置は、橋桁と土手の中間くらいのところだ。ぎりぎりまで土手に近づけば斜面になっている分標高が上がるから、ある程度の川の増水には耐えられるのではないか。 かくしてテントは安全(?)な場所に移動されたのだった。 その日の午後はそのテントをほったらかして図書館で読書。夕方に戻ってみるとテントは無事、川の増水もたいしたことなくてよかった。 せっかく移動したけれど元の位置でも大丈夫だったみたい。 その日の夜のこと。 午後10時半頃、体に何かがぶつかってきたのに気づいて目が覚めた。 何かと思ったらそばに置いてあったサイドバッグだ。 しかも一つではない、三つ同時に倒れてきたようだ。 ??? 不思議に思っていると、フライシートがばたばたと音を立てているのが聞こえてきた。 どうやら風が強くなっていて、それにあおられて倒れてしまったらしい。 サイドバッグを立て直し、まあそのうち風は収まるだろうとタカをくくって寝ているとそのうち風はドンドン強くなっていた。 サイドバッグがまた倒れる。 自転車にかけてあったビニールシートがばたつき、フライシートは風で膨らみ外の明かりがテント内まで入ってくる。 遠くでゴーーーッという暴風音が聞こえる。 しばらくすると風がやんで元の静けさが戻ってくるが、ほっとしているとすぐさま強い風が再び襲ってくる。 安物テントは苦痛に体をくねらせ、もがき苦しんでいる。 風に押しつぶされそうになりながら必死に耐えているのだが、その変形具合は異常で、ここまでの旅で一度も体験したことがないほど。
真上を向いているのに壁が上から覆い被さってくる。 テントの足が浮き、ポールが顔の前を横切っているのが分かる。 テントを手で支えていなければもはや自立できないところまできていた。 これはやばい、どうしようかと二人で話し合っていたがどうしようもできない。 そのうち頭の回路がどこかショートしたのか、笑いがこみ上げてきた。 二人でけらけらと笑いだしてしまった。外は暴風、内は笑渦・・・。 30分は経っただろうか。 一向に風は収まらず、津波のように次々と襲いかかってくる。 そしてある瞬間、フライシートを支えていたフックが外れて宙に舞ってしまった。 フックが壊れてカラビナで止めてあった一カ所だけが唯一の支えとなり、激しく宙で踊り狂っているようだ。 音を聞いているだけでその様子が浮かんでくる。 そして、暴風音・ビニールシートの音・フライシートの音、いろんな音が混ざり合う中で、
という音が耳に入ってきた。 折れた・・・。 ポールが折れたであろう事は明らかだった。 テントの屋根は落下してきて、二人と天井の間に隙間がなくなったからだ。 家の崩壊。 それでもなお暴風は続き、寝ている二人が転がってしまうほどに風がずいずいと押してくる。そこにはもはや笑いなんてない。 ただ耐えて朝を待つしかなかった。 そのうち、どーでもよくなってきて睡魔が襲ってきた。 これ以上壊れるものはないという安心感と、どうにでもなれという開き直りが睡魔をもたらしたのかもしれない。 暴音をものともせずいつの間にか寝入ってしまっていた。 目覚ましで目が覚めたとき、まだ風は強く、暗かった。 それでもこのまま太陽がでるのを待つわけにもいかず、荒れ果てたテントを畳んで撤収を始めた。 そこにあるテントは、もはやテントには見えずただの布袋という感じだった。 ポールは折れ、フライシートのフックはゴムが切れてどこかへ飛んでいってしまった。 やっぱり安物じゃあの風には耐えられないよなー。 |
移動 | |||||
出発地 | 静岡県松崎町 宮の前橋の下 | ||||
到着地 | 静岡県松崎町 宮の前橋の下 | ||||
今日の出費 | |||||
1370円 | |||||
走行データ | |||||
走行距離 | 0.0km | ||||
総走行距離 | 7336.4km | ||||
走行時間 | 0分 | ||||
平均速度 | 0.0km/h | ||||
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