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 大学1年生、実家から持ってきた自転車に乗っていた。ただ単純に足として使うためだ。趣味として楽しんで自転車に乗っていたわけでは決してなかった。それが証拠に車を購入して運転するようになってからというもの、その自転車は自転車置き場から出してもらえることはなく、結局僕の大学卒業と同時にその生涯を終えた。

 社会人になった。仲間もでき休みのたびに遊びまわっていたがそこに自転車の姿はなく、相棒はもっぱら車であった。そうして社会人として1年が経過しようという頃、一人の友人が僕をサイクリングに誘ってくれた。もともとアウトドアは嫌いではなかったし断る理由もなかったので参加を了承したのだが、肝心の自転車を持っていないことに気づいた

 まともに自転車を買うなんてもったいない!と当時の僕は思ったのだろう、自治体のリサイクル情報を調べたり友人に要らない自転車がないか訪ねてまわったりした。要するにどんな自転車でもいいと思っていたのだが、実際頭の中にはママチャリしか浮かんでいなかった。ところが入手できた自転車はロードレーサー。くれたのは会社の先輩。10年以上前に買ったやつで今は倉庫の肥やしになっていると言っていたが、自転車なら何でもいいと思っていた僕は喜んで貰い受けた。

 もらってみてまずびっくりしたのは軽いということ。それまでママチャリクラスの自転車しかもったことのない僕には異次元の軽さだ。こんなものが世の中にあるなんて信じられない。そしてその異次元のマシンに乗ったとき、この驚きは大きくはじけた。
うおっ!軽い!速い!まじかよ〜!!
こんな自転車を友人と走るサイクリングだけに使うのはもったいない、まんまとロードレーサーの魅力に取り憑かれた僕は休日になると日帰りでサイクリングを楽しむようになった。


 本来ならばこのままロードレーサーに魅了されてそっちの世界に入っていくのかもしれないが、僕はそうではなかった。たまたま見つけた本でキャンプツーリングの世界を知ってしまったのだ。持ち合わせのこのロードレーサーでなんとかやってみたいと思い、キャリアやキャンピングストーブやコッフェルなどツーリングに必要と思われる道具を買い揃え、3泊4日のツーリングに出かけたのだった。

 初のキャンプツーリングを終えた後、「こんなつらいこともうやるもんか!」という気持ちはあった。ところが次の長期休暇には新しく購入した自転車で富士山へ登頂している。どうやら完全にハマってしまったようである。その後も長期休暇のたびにツーリングを決行し、2001年の盆休みにはついに彼女を引き連れてのカップルツーリングとなった。そしてこのツーリングの成功に気をよくした二人は、翌年の春ついに日本一周を決行するのであった。


 ところで、どうして自転車で日本一周しようと思ったのだろうか。その答えはどうやら性格にあるようだ。
 高校時代、学ランの襟カラーを外すのが流行っていた。服装検査ではつけるように指導されていたから多分着用が義務付けられていたのだと思うが、そこは反抗期の高校生のこと、あえて規則を破るのがかっこいいと思うのかほとんどの男子が襟カラーを外して学校生活を送っていた。ところが、人と同じ事をするのが嫌いな僕はあえて襟カラーを着けていた。この
人と同じ事をするのが嫌いな
というのがポイントで、この性格が僕を自転車での日本一周へと導いたといっても過言ではない!
 なんとか人とは違うことをしたいと無意識ながらに思ってはいたが、現実にはそれをうまく実行に移せずにいた。大学時代、世の若者の例に漏れず車を購入して遊びにいそしんでいたのだが、その車はいわゆるマイナー車だった。人と違ったことをという気持ちは少なからずあったように思う。

 ほかにも多分いろいろあると思うのだが、どれもこれもやってることはたいして他人と違わず、本人が意識しているほど個性的というわけではない。どうすれば人とは違うというのを表現できるのか、あえてこれを個性と呼ぶならば、個性を発揮するためには一体どうすればいいのか。悩んでいた。

 そんなとき、自転車による日本一周という自己を表現するための、個性を発揮するための手段を見つけた。これなら車に乗ってイキがっているよりはきっと、人と違う自分をアピールできるに違いない。そう思ったのだ。日本で唯一ではないだろう、毎年のように達成している人はいるだろう。けれどもその他大勢でもないはずだ。

だったらやってみよう。






一見衝動的に日本一周を決断しているようだが、実は人生について真剣に考えた末の結論だったりする
旅の目的はもちろん日本一周だが、それ以外にも大きな目的がある。このことは旅の途中か終了時にでも語る事になるかと思います。










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